ここんところ

微妙にスランプ気味。
何というか、自分の書いてるシナリオに対して自信が持てなくなってしまって、全くやる気が出なくなってしまった。
どれだけ書いても、どれだけ頑張っても面白いシナリオが書けない、報われないような感覚というか。
しかし、最近見つけた小説のおかげで、何とかやる気を取り戻せるような気がした。
http://www.geocities.jp/yuushano/
2年近く前からあるものなので知ってる人も多いと思うけど、「勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった」という2chの小説。
とりあえず上のリンクを辿って読んでみる事をオススメします。くそおもすろいです。
で、なぜこの小説が面白いのか、読んでる間ずっと考えていた。
主人公のナレーションがキョンみたいなノリだったり、様々な作品のネタを挟んでいたりするのも勿論あるけど、それは所詮この小説のスタイルにすぎず、面白さの絶対条件ではない。と、少なくとも自分は思う。
んじゃ、何が面白いのか。というよりは、この小説にあって自分のシナリオにない絶対的なものは何か。
それが見えた気がした。
で、それは
「予想外の展開」
もしくは
「どんてん返し」
といった要素なんじゃないかと。
王道もいいかもしんないけど、そればかりじゃ受け手も飽きるだろうし、何より書き手の自分がワンパターンになってしまう。
プレイヤーを楽しませよう、プレイヤーを驚かせてやろうという感覚を改めて強く思うようになった。
それは自分がいち読者として急展開や意外な伏線の消化に驚かされ、それを「楽しい」と感じる事が出来たのが大きいからだと思う。
ついでに言うと、ついさっき出た伏線の消化についても、「伏線だと受け手に思わせない伏線」というものの重要さも改めて認識した。
作中、何とでもなかった描写が実はクライマックスで大きな役割を持っていたとか、きくたけシナリオとかでよく見るパターン。
自分が書く伏線って、これみよかしに「これは後半重要になる伏線ですよ」ってすぐに分かるようなものばかり。
確かにそれは形式上は伏線だけど、展開的に面白味もへったくれもない。それじゃあプレイヤーを驚かす事なんて論外。
軽く話が変わるけど、高校の幾何学の授業で「演繹的な手法(deductive method)」と「帰納的な手法(inductive method)」の事について触れていた。
演繹的な手法とは、言うなれば結果がすでに脳内で出来上がっていて、それを「証明」する手法の事で、帰納的な手法は逆に結果がまだない状態から初めて、リソースをつなぎ合わせて「結果」という最終的な目標にたどり着く手法。
SRCシナリオに限って言えば、自分には「演繹的な手法」というものが圧倒的に足りない。
シナリオの製作に入る前に、個々のイベントやクライマックスの展開などが頭の中で出来上がっていなければならない。
もちろん今まで完全に手探りでシナリオ書いていたという訳じゃなく、アレクにせよセカハテにせよ終盤の展開まで想定して書いていた(書いている)事は事実。
でも、伏線を張るってのは、正に演繹的な手法そのもの。躓いて転ぶといった何でもない描写がラスボスの弱点を突くような重要な伏線だった、みたいな巧妙な計算の上に成り立つ業。
よくアイコン描く人のシナリオは面白いという話を耳にするけど、アイコンに限らず絵を描くという作業はとても演繹的なものなので、そういう考え方が鍛えられた人達の書くシナリオが面白いのは道理に適っていると言える。
―とは言うものの、逆にリレーシナリオは主に「帰納的な手法」を用いて製作される。例えば、リレーでは以前のEVEで何でもなかったイベントを「実は終盤において重要な伏線でした」という拾い上げが行われる事がある。ので、演繹的・帰納的の二言だけでは片付けられない難しい問題とも言える。
とにかく、自分にとって足りないものは何なのか、その答えの兆しが見え始めただけでも、上の作品に出会えた事は大きいと思う。ちょい大げさかもしれないけど。
うん、頑張ろう。